喫茶と読書 ひとつぶ

20201203

今日も寒かったですね。晴れるって言ったんじゃん!という。いっとき明るくなりましたが、また暗くなってしまって、ずっと夜、みたいな感じの日でした。ひとつぶ、さすがにこうなると寒いです。夜になってくると、暖房も効いている気がしないので、玄関ドアを閉めることにしました。ドアに暖房中なので閉めていますという貼紙をしています。お休みなんだって帰らないでくださいね。よろしくお願いします。

ただ、ドアを閉めると、今度は換気の問題ですよね。1時間に5分、これまたなあなあになっているのですが、復活しましょう。ただ、客席のところはやはり寒すぎるので、玄関とキッチンでやろうと思います。ご理解をお願いいたします。

さて、昨日今日と、本を2冊読了しました。1冊は『昼の家、夜の家』トカルチェクです。大事に大事にゆっくり読みました。架空なのだと思うのですが、国境沿いで、ドイツに占領されていたこともある村を舞台に、短編集のようにエピソードが綴られていきます。中には料理のレシピだったり、聖人の物語だったり。何が起きるわけでもなく、何も起きないわけでもなく、時間軸、空間軸を自在に物語が行き来します。ポーランドという、日本人の自分にとっては凄まじく異国であるのに、距離を感じない。川のイメージ、鳥のイメージ、キノコたち。

読み始める前は、この本を読んだら、この村の住人たちと私はとても仲良くなっているんじゃないか?と思っていました。でも、そうではない。そういう物語ではなかった。語り手も、Rも、マルタもくっきりとした輪郭は描けなかった。人として、印象に残ったのは、聖人伝を書いているクマーニスだったかもしれない。それは多分、そこだけが古い物語として書かれているからなんだろう。

人が残らないで、何が印象に残っているのか。それは森だったり、空だったり、灰色の空気だったりなのかもしれない。戦争、占領、移住といった決して明るくない歴史の記憶を持った、川が流れている土地。その風景が心に残っている。

トカルチェクは、これからも引き続き読んでいきたいなあ。この小説の形式はとても好き。日本語訳が出ているのは、あと2冊くらいなのかな。大事に読みたい。

だいぶ遅くなってしまったので、今日は帰ります!

本日もご来店いただいたお客様、ありがとうございました。ちょっと寒かったかもしれませんね。ごめんなさい。明日からは、だいぶ改善されるかと思います。ストーブやひざ掛け、湯たんぽも使ってくださいね!湯たんぽは言ってくだされば、お湯入れますよ!

それではまた明日!あ!もう1冊は小川洋子さんの『琥珀のまたたき』でした。これもすごくよかった。この本についてはまた今度。それではお休みなさい。明日もよろしくお願いします。