喫茶と読書 ひとつぶ

20201204

静かなようで、終わってみればお客さんが絶えなかった1日でした。ありがとうございました。最近通りかかって気になっていた、という方も多くて、それも嬉しいです。地味な看板ですが、やはり続けることに意味はあるんですね。少しリニューアルしたい気持ちもありますが、無理せずゆっくりやっていこうと思います。気に留めて見てくださった方、ありがとうございます。また、遠方からもいらしていただき、ありがとうございます。もちろん、いつものお客様も。ひとつぶを大事に思ってくださる全ての方に、お礼を申し上げます。

そんな中でもずんずん読書が進み、今日は『多田尋子小説集 体温』を読んでいます。先日せんぱくBOOKBASEさんで購入しました。日本の小説っていいなと思いました。読んでいて安心。そこに流れる感情の波のようなものに一緒に乗っていきやすい気がします。

昔の作品の復刊ということで、女性とか結婚観が古いところもあり、私が幼い頃はそういう価値観だったなあと思ったりする。ただ、そういう時代に書かれたものにもかかわらず、文体は全く古さを感じさせない。これがいいなと思う。きらびやかではないけれど、端正な佇まい。だから読んでいてとても気持ちがいいし、安心できるのかもしれません。

私はどちらかというと、読むものを選ぶときに、何か特殊な設定があるものを選んでしまうことが多いように思います。日常をすらり、と書いたようなものは、なかなか手が出なかったりする。それなのに今回この作品集を手にとったのは、装丁の力も大きかったです。SNSで見かけて、すごく綺麗な本だなと思って調べ他のがきっかけ。それが1980年代の小説の復刊で、芥川賞を6回も逃した人、というのも気になった。最近見ないお名前だが、創作活動は続けられているということのようです。

なぜこの本が出版されたのか、その経緯はまだ調べていませんが、近い過去の、埋れている作品を再び陽の当たるところに登場させてくれた編集者に感謝だなと思いました。当時私は大学生で、もしかしたら「海燕」などで読んだことがあったかもしれない。でも、多分その頃の私には、よくわからない作品だろうと思う。今読めたことがとても嬉しい。あともう一編で読み終えてしまうことが、少し勿体無い気がしています。

トカルチェク、小川洋子、多田尋子と、女性作家が続いています。男性、女性、と括ってしまうのはもちろん良くないですが、最近読みたいなと思う小説が女性作家のものが多い。美術もその傾向がある気がします。音楽はそうでもないかなあ。これは自分だけなのか、世の中全体がそうなのか、あるいはただの偶然か。そういうことは今はわからないので、後々振り返ったほうが良いのでしょう。あまり考えず、好きなものをどんどん読んでいきたいと思います。

それでは今日はこれで帰ります。寒そうですよね。最近日和っててバイク乗れてません。もうちょっと日差しが復活したら!それではお休みなさい。