喫茶と読書 ひとつぶ

20221128

今週終了!そして11月も終了しました。売り上げは明日みないとわかりませんが、10月より落ちました。でも、毎日の売り上げが割とコンスタントで、ガクッと落ちた日がなかった11月でした。今日も月曜日なのに、遅い時間から忙しくなりました。このところ、週末より平日の方が忙しかったりします。皆様、ありがとうございました。

そんな時間のあった今週、パワーズの『オルフェオ』読了しました。これは大傑作でした。パワーズの物語は、並行して3つくらいが進んで、最後に収束する、というものが多いんですが、『オルフェオ』は主人公の過去と現在の物語が並行して進み、間に不明な文章が挟まる、という形式です。そのためか、比較的読みやすかったかもしれません。

帯には細川周平さんの言葉でこうあります。「ショスタコヴィチからメシアンを経てライヒまで、パワーズは音楽史を遺伝子で組み換えた。“読み聴く”小説の誕生。」

巻末にはこの小説に出てくる音楽のリストがあります。ヴィヴァルディだったりアステア、ヴェルヴェットアンダーグラウンド、など、もうありとあらゆる音楽。その中でも何曲かは文中で言葉によって表現されていました。マーラー『亡き子をしのぶ歌』、ショスタコービッチ『交響曲第五番ニ短調』、ライヒ『プロヴァーヴ』。私はこれらの曲を知らないのですが、パワーズの言葉によって表現されたその音楽は、美しくて、多分実際に聞くより、もっとリアルなものでした。実のところ、このうちの2曲を聴いてみたのですが、私の耳では楽器の音が聞き取れず、言葉で表現されたものを感じ取ることができませんでした。パワーズが翻訳してくれたことによって、私は少しだけ、それらの音楽を知ることができたような気がするのです。

この本の始まりから、こんなに音楽に満ち溢れた物語が溢れてくるなんて思いもしませんでした。不思議で美しい、そして悲しい物語。

一番好きな場面は、主人公の娘が積み木を並べるという記譜法を発明するところ。これは最高に美しいです。

また、この物語の主人公は音楽という芸術と、科学との接点にいる人物でもあります。それはパワーズ自身の分身なのかもしれません。

さて、それでは今日は帰ります。明日と明後日はお休みです。ブログは今回は書けるかな。もし書けなかったらごめんなさい。おやすみなさい。