喫茶と読書 ひとつぶ

20221107

先週のお休みの日に時間がちょうどいい感じで空いたので、クリストの展覧会に再度行ってきました。前回は面白そうだと思ってはいたけれど、それほど期待していたわけではなく、見ているうちに引き込まれていきました。しかし、体力気力がスタンバイされていなくて、最後の方のインタビューの映像のところはちょっと端折ったりして帰ってきてしまったのです。実は、カタログか本があるだろうとたかを括っていたのもあります。ところが、カタログはなくて、あるのは英語の本だけ。2月までやっているわけだし、もう一度行こうと思っていました。

来年でもいいかなと思いましたが、ちょうど2時間くらいいられそうだったので、ガッツリ気持ちを持って行って見て来ました。

最初の部屋はクリストの過去の作品。これは前回かなりじっくり見たので、今回はパス。そこから次はドローイングなどが展示された部屋の映像。こちらは素材を作るところから始まります。ドロドロに溶けたものに色をつけて、繊維を作り、布を作る。その布の強度の実験。鉄を溶かして土台を作るところ。CADのようなものでそれぞれの布パネルをきめていく。ミニチュアでの実験。出来上がった布パネルにプリーツをつける。これは倉庫のようなところに巨大な布を広げて、数十人で畳んでいくという大変な作業。プリーツを畳んで布パネルを丸めてコンテナに収納する。そんな、本当にこれは芸術なのだろうか、という工業的な作業の様子。これは見ていてとても楽しい映像です。前もこれを見ていたら面白くなって、すっかり魅了されたのだった。ここに至るまでの綿密な設計や打ち合わせを思うと、ものすごく興味深い。

この部屋の隅の方の小さなスクリーンでは、凱旋門とはパリにとってどんな場所なのか、毎日のルーティーンのことなどが紹介されていました。

そして次の部屋では凱旋門での作業の様子。巨大なクレーンでアールの部分に枠組みを設置して、布を張っていく。角のところで養生を折り込む。(これは前の部屋でミニチュアでやっていた)そして屋上に布パネルをクレーンで搬入して設置。段階的に降ろしていく。ここで、前の部屋でプリーツを折り込んで丸めていた意味がわかります。

三つ目の部屋に行くには、銀色のこの布パネルと赤いロープに包まれた壁沿いに奥に入っていきます。これはきっと実物なんだろうな。

行き着いた先には大きなスクリーン。こちらは完成した凱旋門プロジェクト。とても美しいです。でも、ある意味これはもう終わってしまったところなので、意外と面白くない。クリストのプロジェクトは、出来上がったものよりもその過程の方が面白いんですね。

最後の部屋は壁には図面が拡大されて貼られています。そしてスクリーンではこのプロジェクトに関わった人のインタビュー。風圧の実験をした人、パリの屋根の色を語る人、排水や火事に対してどのようなアプローチをしたかを語る人、カメラマンなど。さまざまな人が関わっています。

最後にクリストが凱旋門プロジェクトのドローイングを書いている映像を見ました。これはもしかしたら最初に見るものなのかもしれません。この間は気が付かなかったし、今回も最後に気がついて見ていました。ドローイングとスクリーンが並んでいるので、写真だと思ってしまっていたのかもしれません。この映像がすごくよかった。コルセットをつけて写真を見ながら、計りながら絵を描いていくクリスト。その手元。そして部屋の様子。床に絵を置いて膝にカバーをつけて描いている姿もありました。画家も体力がいるものなんですね。

これで2時間弱でした。本当に素晴らしい。うまく言葉にできないのですが、アートすごい。私はこの間まで知らなかったのですが、このようなプロジェクトは一切スポンサーというのは持たず、クリストが書いた絵やドローイングなどを売却してその資金を作っているそうです。これもすごいですね。自由。

ギャラリーを出て、ショップで水戸芸術館でやった展覧会のカタログを買って来ました。昨日読んでいたのですが、これも貴重な資料ですね。茨城とカリフォルニアで傘を立てるプロジェクト。面白いです。日本とアメリカの文化の違いも浮き彫りになってきます。地権者の数の違いとか。プロジェクトをやることで、具体的に数になって現れてくるところが面白いです。

さて、それでは今日はこれで帰ります。今週もありがとうございました。また水曜日にブログ書きますね。明日明後日、お休みします。それではまた。おやすみなさい。