喫茶と読書 ひとつぶ

20220807

『ベイルート961時間(とそれに伴う321皿の料理)』という本を読みました。書いたのは関口涼子さんという方。詩人で翻訳家で作家。ウェルベックの『セロトニン』の訳者です。

最初は321皿の料理というので、レシピが321あるのかなと思っていたのですが、パラパラとめくってみたらそんな感じでもなく、でも面白そうなので書いました。結局レシピはほとんどなくて、料理、食べ物にまつわるエッセイが321だったのです。お皿というのはベイルートに馳せた思いということだったようです。

ベイルートという地名を聞いても、私などはピンとこなくて、検索して地図を出してみました。レバノンの首都で地中海に面した都市です。そして関口さんが滞在した2018年のその1年後の2019年、そして2020年に革命、ベイルート港爆発事故が起こる。

この本はそんなカタストロフが起こる前の光に溢れたベイルートが記されている、と関口さんは書いています。そんな料理本。これが料理本であることは関口さんにとっては必然で、独特の感性なんだろうなと思います。それが最初少し戸惑ったけれど、読み始めたら文章がとても綺麗で、ぐいぐい読んでしまいました。

この間トゥアレグの本読んだ時にも思ったけれど、日本人の女性が、紛争地域でたくましく現地の人と交流している姿を読むのはとても嬉しいことです。そして羨ましい。言葉ができるというのはいいことですね。

まとまりませんが、これで今日は帰ります。本の感想を書くたびに、自分の読解力のなさ、記憶力のなさにびっくりします。ではまた明日。おやすみなさい。