喫茶と読書 ひとつぶ

20220519

今日はなんと夕方5時以降が忙しい日でした。いつもはその時間になると閑散という感じなんですが、今日は不思議と。おひさま効果でしょうか。曇ったり雨が降っていると、4時くらいにはなんだかもう夕方っていう感じになりますもんね。ありがたい。

今日もカッサータ、ご注文いただいていました。そしてさっき作って今冷やしています。去年も思ったのですが、カッサータのご提供するときの状態、これがとても難しいです。理想としては、ちょっと溶けていてシャクッとスプーンを入れる、というイメージなんですが、最初からそれだとちょっと柔らかすぎるような気がします。かといってガチガチに固いと食べづらいですよね。毎回、それを思いながらお出ししていて、結論も出ないし、どこまで解凍を進めればいいのかわからない。その日の気温にもよるでしょうし、さっと食べる方であれば最初から柔らかい方がいいだろうし、ゆっくり食べる方だったら最初は固めでいいだろうし。

そういうことを言うと、実はなんでもそうなんですよね。カレーの辛さ、ジャムのゆるさ、あんこの甘さ、バターの量、トーストの焼き加減。そのほかにもたくさんあります。それは全部幅があるものなんです。その幅の中のどの点にするか。それを決めないといけないのです。こんなこと、飲食店をやっている人はみんなとっくにご存知のことだったんだと思いますが、私はそんなことを思いもしませんでした。お恥ずかしいことに、始めるまで、いやもっと言うと開店してしばらく経ってから、そういうことに気がついたんです。

その時に基準になるのは、もう自分の好みだけなんですよね。自分がいいと思うもの以外は出すことはできないんです。それはとても怖いことだから。自分がこれでいい、これがおいしいと思う、というものであれば、後ろ盾になることができます。でも、その気持ちがないと、不安なだけになってしまうんです。そうすると精神的にもたない。とはいえ、自分の好きなものがすなわちみんなが好きなものなはずもなく、そこがうじうじとしてしまうところです。それでもだんだんそういう決断をしたりすることには慣れてきたような気がします。

そしてまた厄介なことに、自分の好みが決まっているにもかかわらず、なかなか毎回同じものを再現できない、ということもあります。これは完全に技術の世界ですよね。これがまだまだ。

開店以来ずっと作り続けているプリンやスコーン。これなんかもまだまだ一定のところに収まりません。がんばります。

さて、反省をしたところで帰ります。明日も暑いみたいですね。でも、湿気がないせいか、ひとつぶの店内はとても快適です。風もそよそよっと吹いてきて、気持ちがいい。これが5月だよね、という感じです。それではまた明日。おやすみなさい。