喫茶と読書 ひとつぶ

20220504

今ブローディガンの『西瓜糖の日々』を読んでいます。前に阿佐ヶ谷の喫茶店『西瓜糖』のことを書いたことがあったかと思うのですが、その店名はもちろんこの小説からでしょう。大学生の頃、やっぱりそう思ってこの本を読んでみようとしたことがあったと思うんですが、ピンとこなくて読まなかった気がします。それが、この間たまたま本が目に入って、ぱらっと読んでみたら今度はピンときて、お持ち帰りしました。

当時の自分がなぜこの本に反応できなかったのかはよくわかりません。村上春樹もあまり好きじゃなかったりしたので、アメリカ文学に偏見を持っていたのかもしれないです。でも、ずいぶん時間がかかりましたが、今になって読んでみてとてもよかったと思います。

不思議な不思議な話です。西瓜糖とは、虎とは、小川とは一体なんなんでしょう。まだ途中だけれど、最後まで特に種明かしもないんだろうと思っています。

ブローディガンって他に何を書いた人だったっけ?という疑問もあって、wikiで調べてみました。そうしたらいろいろ書いてあったのですが、なんと小川洋子さんはブローディガンに影響を受けているそうです。やっぱりちゃんと反応しているんですね。そう言われてみると、設定なんかに少し影響が見られるかもしれません。

私が思い出したのはトカルチュクでした。物語の中にその舞台となる土地の地理が刻まれている、という感じ。トカルチュクの場合は、そこに時間軸も入ってくるので、より多重構造なんですが。

wikiを読んだら、ブローディガンは、ほとんど藤本和子さんという方が翻訳しているそうです。この方の言葉がとてもいいんですね。西瓜糖という言葉もものすごくいいです。原文はWatermelon Sugar。あ、そのままですね。でもスイカを西瓜にしたセンスが素晴らしい。さとうも糖の一文字で正解です。キラッとしたイメージが湧きますよね。これを店名にした西瓜糖さんもさすがです。

お客様が一人だけになった夜、私も夢中で読んでいました。いい時間でした。

また明日も良い1日になりますように。ひとつぶにとっても、皆様にとっても。楽しい時間をお過ごしください。それではまた明日。おやすみなさい。