喫茶と読書 ひとつぶ

20211122

興味がある分野の本をどんどん深掘りしていくって、本好きの人なら誰しも経験ありますよね。私もそうで、建築だったり美術史だったり、料理だったり。最近は文化人類学に興味津々のようなんです。それほど意識をしていたわけではないのですが、気がついたらどうもそんな感じ。

『発行文化人類学』を読んだときに、心に残った話がありました。それがマリノフスキーという人が研究した「クラ」という交換文化のこと。これがモースの贈与論と結びつき、ヒラクさんはそれを発酵に結びつけていって、目眩く論が展開されていきます。正直言って、2年くらい前に読んだこの本のその発酵の部分はあまり良く覚えていないのですが、この「クラ」という交換文化、そして贈与論というものは私の胸にきっちり刻み込まれました。

その余韻の中、これまた話題になった『世界は贈与でできている』を読み、ますます興味を深めました。この本が贈与論の入門として、とてもわかりやすかったのは私にとって良いことだった気がします。ここで本来の贈与論のモースにいくかと思われましたが、そこまでいくのは自信がなかった。そこで次に読んだのが『ブルシット・ジョブ』です。これは直接贈与論とは関係なかったかもしれないけれど、今の世の中が本質的なものからずれている、ということをはっきりしてもらってとてもスッキリした本だった。なぜ贈与論に魅力を感じたかというと、多分そういう現状があったからなんだと思い当たったというわけです。

それから『チョンキンマンションのボスは知っている』から『働くことの人類学』にいきました。もうこの頃になると、人類学、贈与論というところをはっきり意識していました。合間に『贈与論 資本主義を突き抜けるための哲学』という解説本も読んだのですが、バタイユのところでギブアップしてしまいました。なんだかバタイユはちょっと苦手意識があって。まさか贈与論でバタイユが出てくるとは思わず、なぜ?なぜ?と思いながら読み進めましたが、わからなくなってしまったんです。

そして『ラインズ』のティム・インゴルドもまた、私を魅了しています。松村圭一郎さんの『くらしのアナキズム』を読んで、その参考文献の中から図書館で『新しいアナキズムの系譜学』を借りて、今はこれを読んでいます。そうしたら、ソローの『森の生活』ソルニットの『ウォークス』が登場。どちらも読みたいと思っていた本です。松村さんの参考文献の中でグリッサンも出てきています。これも借りていますが、「群島」というキーワード。追いかけています。今福龍太さんです。

掘れば掘るほど、どんどん広がっているようでぐるぐる回っているようで。こうして深みにはまっていくんですね。問題は脳みそがついていかないこと。『新しいアナキズムの系譜学』もメモをとりながら煙にまかれています。

それではしばし読書に戻り、遅くならないうちに帰ります。明日は火曜日ですが、祝日ですので営業です。明日も雨でしょうか。寒くなってきましたしね。灯油を買わなくちゃ!ではおやすみなさい。また明日。