喫茶と読書 ひとつぶ

20200916

読みました。レイ・ブラッドベリ『華氏451度』。昔読んだ記憶はありましたが、読んでもあまり覚えているところはなかった。面白かったです。が、設定が良いだけに、もっと面白くなったのではという気も。生意気言うなですね。

twitterで「#出版物の総額表示義務化に反対します」を投稿しました。これは今出版されている本は本体価格を表示していて、消費税率が変わっても対応できるようになっているのですが、これは特例として認められている表示なのだそうで、その特例措置の期間終了に伴って、書籍も総額表示をしないといけなくなる、ということだそうです。となると、カバーを掛け替えるなどのコスト、作業が発生することになり、出版社、取次、書店に多大なコストがかかってくるということなのです。実際、これが本当に義務となると、カバーを掛け変えたりするコストが背負いきれないため、たくさんの本が絶版になってしまうのではと言われています。消費税が導入された当時に、そのようなことが起きていたということです。

現在まで本体価格表示で何も問題なく取引が行われているのに、なぜそれを無駄なコストをかけて実行しないといけないのか、疑問です。また、このことにより、文化的価値のある出版物が絶版になるようなことは、絶対に避けなければならないと思いました。

そして根本的に総額表示について疑問です。どれだけの負担をしているのか、消費者は税金を支払っている感覚を持ち続けるべきだと思います。

ひとつぶは総額表示をしていません。対応しないといけないかもですね。不勉強でした。

『華氏451度』、本を焼くことを職業とする主人公の話です。帯にはディストピア小説フェアとあります。今回の総額表示にしないといけない、ということは直接書籍を禁止することではありませんが、様々な社会の仕組みの中で、何を守っていくのか、という視点からみると、法律を厳密に平等に守らせる、というようなことしか考慮に入れていないように感じます。業界の成り立ちや、現実としての作業やコスト、それが果たして見合うものなのかどうか、詳細について何も検討されていないのではないかと思わざるを得ません。間接的に、価値ある書籍が私たちの目に触れなくなったり、良心的な出版社が倒産したりというようなことが起きるとしたら、これはブラッドベリが描いた世界が現実になりつつある、ということにもなるのではないでしょうか。「いまはみんな夜も昼もしあわせに暮らし、政府お目こぼしのコミックと古き良き告白ものと業界紙を読んでいる」

なんだか重い話題となってしまいました。本日もご来店ありがとうございました。秋のコーヒー、好評です。明日もよろしくお願いします。ディストピア小説、もっといろいろ読みたくなってきました。おすすめあったら教えてください。おやすみなさい!