喫茶と読書 ひとつぶ

20200724

小さい時に買ってもらって、大好きだった本です。岩波子どもの本の『九月姫とウグイス』。原作はサマセット・モーム。多分私が九月生まれだから、買ってくれたのかなという気がしますが、とても好きな本でした。内容はネタバレになってしまうので、読んでいただくとして、挿絵がとても綺麗。武井武雄さんという方が絵を書いていらっしゃいます。今までこの本について調べたことがなかったので、ネットで検索。武井武雄さんという方は、私と同郷の長野県の方でした。とても有名な方で、wikiによれば、

童話の添え物として軽視されていた子供向けの絵を「童画」と命名し、芸術の域にまで高めた。武井武雄の童画は、大胆な構図や幾何学的な描線によって、モダンかつナンセンスな味わいを感じさせ、残された作品はいまもって古びていない。「コドモノクニ」をはじめとした児童雑誌の挿画、版画、図案(デザイン)、おもちゃの研究・創作「イルフ・トイス」、本自体を芸術作品と捉えた「刊本作品」、童画批評など多岐多彩な分野で作品を残した。

https://ja.wikipedia.org/wiki/武井武雄

とのこと。また、すごいエピソードがあります。

幼い頃は病弱で、多くの時間を家の中で過ごし、友達も少なかった。そこで空想の中に「妖精ミト」という友達を創り出し、童話の世界で一緒に遊んでいた。

ミトという名前も、現代の人のようで、すごいセンスを持った方だったのだなと思います。『九月姫とウグイス』はカラーとモノクロのイラストのページがそれぞれあって、カラーの方も色使いも絵もとてもいいのですが、今回改めて素晴らしいと思ったのはモノクロの方。

この構成、とても美しくないですか?ページをめくるのが楽しくなります。幼い頃にはモノクロのところはどう思っていたのかな。あまり記憶がありません。そして、ひとつぶに持ってこなかったら、この本のこともちょっと忘れていたかもしれません。再会できて、本当によかった。

武井武雄さんのことはもう少し調べたいです。「刊本作品」というものがあるらしくこれは最近別のところ(製本関係)でも見かけた言葉です。深い深い、本の世界はいろんな方向に深いですね。ぜひぜひ読みにきてください。それではまた明日。お休みなさい。