喫茶と読書 ひとつぶ

20201024

今日は気持ちよく晴れましたね!ひとつぶも窓全開でした。もちろん途中から閉めましたが。新鮮な空気はとても気持ちがよかったです。冬が来る前のよいひと時ですね。

ウェルベックの『ある島の可能性』読了しました。後半すごく面白くて、最後は美しかった。不思議な小説でした。これもディストピア小説になるんじゃないかな。人類が遠くない将来辿るかもしれない世界です。生活がリスト化され、欲望のない世界。そこから過去に書かれた人世記を振り返る物語です。

その人生記が、昨日書いたように欲望にまみれていて、ちょっと正直読むのが面倒だったりしたのですが、だんだんその部分にも愛や哀しさのようなものが滲み出てきて、愛おしくなってくるのです。なんだろうこれ。人間みんなばかじゃんね、みたいな気持ちになり、それでいいんだよ、と肩を叩きたくなった。まんまと術中にはまったんですね。他の作品も読みたくなった。

作中に、美術作品の記述があって、それがとてもいいなと思いました。自分が空間に溶けてしまうような装置なのです。昔、これに似たような話があったような気がするのですが、思い出せない。でもそれは暗闇だったような気がします。この作品の中のそれは白い霧が立ち込めているような空間で、五感がなくなってしまい、自分がなくなってしまうようです。そういうものがあったら、体験してみたい。

そして、読書週間の時に、お客様が紹介してくださった作品をひとつ読みました。twitterでみねちさんがご紹介くださった本です。ありがとうございます。池澤夏樹さんの『やがてヒトに与えられた時が満ちて』。読書週間の投稿を見て、欲しくて調べて、すぐに買ってしまいました。これがまた、すごく面白くて、一気にいっちゃいました。これも同じジャンルなんですよね。そしてやっぱり人は感情を無くしていくのです。とても綺麗な本です。これ装丁が戸田ツトムさんなんですね。

人間は感情があるから苦しむのだけど、感情のない世界というのは生きる意味さえなくなってしまうような気がします。笑ったり泣いたり、苦しんだり。そんなことをさざなみのように繰り返し繰り返し、それが生きていくことなんでしょうか。それで何かが変わったり、誰かが褒めてくれるわけでもないけれど、不思議なものですね。

そして、本筋には全く関係ないんですが、絃楽器を習いたくなりました。話の中で、シタールを弾く人が出てくるんですよね。私もギターとかマンドリンとかかき鳴らしたい。

明日から、この間大量に買った小川洋子さん読み始めます。ティーコゼーも編みたいですが、読書欲がすごいです。でも、そろそろ紅茶も冷えちゃいますもんね。次の休みに毛糸、買えるかな?綺麗な青い圭人が欲しいです。とまあ、欲望はつきません。

本日もきていただいた皆様、ありがとうございました。遠方からも、お近くの方も、嬉しかったです。また明日も良い1日になりますよう。おやすみなさい。