喫茶と読書 ひとつぶ

20201009

『世界は贈与でできている』読了しました。とても面白かったし、たいへん読みやすい文章でした。すらっと読んでしまえる。それでもう一度読み直しました。

全体的には全く同意。異論なしという感じです。アンサングヒーローがいるから日常は当たり前のように営まれているし、親の愛情は子供に届き、またその愛情ゆえに親は生きていく力を得ることができる。私たちの世界はそういう意味で、贈与に満ち溢れている。想像力を働かせよう。世界ともう一度出会ってみよう。そのことがとても丁寧に説明されていると思う。

その一方で、贈与は今の資本主義を否定しない、むしろそれがあるからこそ、贈与が成立するという。ここが「あれ?」というところだった。この本を読もうと思っていたは、資本主義に代わる新しい経済システムに「贈与」という概念が関係するのではないかと、そんな期待があったからだった。

ベーシックインカム、AI、そんなものがどのようにこれから私たちの生活に関わってくるのか、贈与というのはその中で、どんな役割をしていくのか。そんな考察を読みたかった気がする。

中で、紹介されていたクルミドコーヒーの例が面白かった。『ゆっくり、いそげ』という本があるそうなので、読んでみようかなと思いました。

著者の思いと、読者の欲望はなかなか合致しないのかも、とふと今思いました。

本日も、足元の悪い中、寒い中、ご来店いただきありがとうございました。それではまた明日。おやすみなさい。