喫茶と読書 ひとつぶ

21101112

事件です。残念ながら、今日はお客様がゼロでした!8月9月10月と、危ないながらも、この事態は避けられていたのですが、残念ながら。寒いからなんでしょうか。お客様がいらっしゃらないと、お湯を沸かしたりということもないので、ますます寒くて、ついに今私の足元にはストーブが。ところがこのストーブ、すごい威力です。もっと早く使えばよかった。暖かい、というか熱い。

今日は12月上旬の気温だったようですが、この寒さになってくると、やっぱり玄関ドアを閉めないと無理ですね。営業中だとわかるようにドアに張り紙をしたり、といった準備もしておいたほうがいいのだと、わかりました。

12時に開店してしばらくは、自分のお昼を食べたり、白湯を作ったり、携帯見たりしていたのですが、2時間もすると、あれれ?となり、こういう時にはちゃんと本を読もう、と思い、先日買った小川洋子さんの『沈黙博物館』を手に取りました。これが予想通り、すごく面白くて、寒いので湯たんぽを抱えながら、カウンターの中で読む読む。時折、物音がするので、あ、お客さんだと思うのだけど、違って、また座り直して読む読む。途中、おやつを食べたりシロップのお湯割りを飲んだり。日が暮れてからはますます寒いので、客席で失礼してまた読む読む。そして先ほど読み終わりました。これでは、自分のご飯とおやつを食べて本を読んでいる人になってしまいます。働いていない。朝の仕込みと掃除だけ。所得なしです。

それはともかく、『沈黙博物館』はとても面白かったです。この間、小川洋子さんの著作を全部書き出して見たのです。そして、読んでいないものをチェックしていったのですが、その中でもダントツ読みたいなと思う本でした。青山ブックセンターにあったので、買っていたのです。絶対面白いのはわかっていたので、気持ちが疲れた時なんかに読もうかなと、思っていたのですが、もう読んでしまったではないですか!

形見、発声しないこと、耳。小川さんの小説によく出てくるワードじゃないかと思います。死者を語る、死者が語る。陳列される遺物たち。沈黙の伝道師に語られる秘密。

美しい、けれど寂しいひとつぶの中で、こんな儚い小説を読む。あまりにぴったりでした。

まあこんな日もありますね。営業努力も足りないんだな!COVID-19はいよいよ感染者が増えているようですし、厳しい冬になるかも。頑張って生き延びよう、という感じです。

明日は今日より暖かいみたいです!それに、ストーブが思いの外暖かいので、今の所、ひとつぶで寒さの心配はありません。湯たんぽもなかなかですよ。それでは明日が良い日になるよう祈りながら。おやすみなさい。