喫茶と読書 ひとつぶ

20210813

涼しいですね。今室温26度。エアコンなしで。これ、外はもっと低いんじゃないでしょうか。このくらいがいいなー。お盆明けまでしばらく雨が続くようですが、暑さがひと段落、という感じで嬉しいです。

昨日に引き続き、『働くことの人類学』のポッドキャストをさっきまで聞いていました。本も少し読みました。本の巻頭に柴崎友香さんと松村圭一郎さんの対談があります。その中で、「エキゾチック」ということについて発言がありました。

1980年代に人類学が多くの批判に晒されたことがあって、人類学は「そうではない他者」を研究して示してきたのではないか、ということでした。現地でのフィールドワークの末、自分達がいかに優位にあるかを示し、さらには植民地政策を正当化しているのではないかという批判です。松村さんはそれを「エキゾチックな他者イメージ」というふうに表現しています。

「エキゾチック」というのは重要なワードだなと思っています。その視点では対象物は、とても距離があるものです。現代社会が失ってしまった原始的な何かを秘めている、というようなイメージがあります。しかし、人類学の対象になっているフィールドで生活している人々は私たちと同じ現代を生きていて、タンザニアの商人のように、ある意味日本人よりインターネットなどを上手に使った商売をしていたりする。狩猟民族だから、採取生活をしているから、古き良き時代を生きているわけではないのです。そこにはその土地で培った合理性だったり、価値基準があるということです。エキゾチックというフィルターを取り除こう、ということなのだと思います。

私はそれはノスタルジーにも通じていると思っています。例えば、今ではないいつかの日本。それは私たちにとって、既にエキゾチックなものになっていて、美化しているところがあるのではないでしょうか。それは空間軸ではなくて、時間軸ですが。フィルターをかけて現実を見ていないところが、どこか似通っているように思えます。

さて、また雨が激しくなってきました。少し小雨になったら帰ります。

今日ご来店いただいたお客様が、時間の紙のメモに「時々むしょうに来たくなります。」と書いてくださいました。光栄です!無性にって、いいですね。本能が呼んでいる!みたいな。本能が叫んでいるのであれば、来ないわけにはいかないですね!またぜひご来店お待ちしています。

それではまた明日。おやすみなさい。