喫茶と読書 ひとつぶ

20210218

『侍女の物語』読了しました。面白かったです。前にも書きましたが、色彩が綺麗。このドラマは綺麗だろうなあと思います。

不思議な物語でした。侍女が語り手なのですが、彼女は結局何者で、どうなったのか、どうしたかったのか。ヒロインではないのです。彼女は能動的に行動しているわけではないし、何かを画策しているわけでもない。運命に、国家に、社会に翻弄されている。断片的に紡がれていく今の話、昔の家族の話、少し前の「センター」での話。そこから彼女の置かれている異常な立場が浮かび上がってきます。女性が性的な機能のみで生かされている世界。子供を産むための機械でしかない存在なのです。ディストピア。そしてレジスタンス組織もあります。そうした社会に反抗する友達もいます。しかし、彼女はそれに対して積極的に関わっているわけではないのです。

でもそれがリアルなのかもしれません。でも、この物語を残している分、彼女は何かを持っていたのかもしれません。不思議な物語です。この続編が『誓願』ですね。これも読みたいです。

さて、本日ご来店いただいたお客様、ありがとうございました。久しぶりに寒い日でした。明日も穏やかな良い日でありますように。おやすみなさい。