喫茶と読書 ひとつぶ

20211111

あ、今日はポッキーの日でしたね!お菓子の問屋にいたときに知りました。しかも2021年だから、1が5つも並びました。わお。

さて、ただいまタルトタタン製作中です。りんごの部分を焼いています。うまくいくかなあ。りんごを煮るために、新しいフライパンを買っての挑戦なんです。ひとつぶのフライパンは大きいのはもう何を炒めてもカレーの味になるし、小さいのは3回に分けないとりんごを煮ることができず、前回そこでものすごく時間がかかってしまったので。でもいっぺんにあれだけのりんごを煮るのは少し無理があったかなあ。うまくいくといいんですが。ドキドキ。ここがクリアできれば、タルト生地は作ってあるし、なんとかなりそうな気がします。ああ、でも明日ぱかっと開けるまではわからないんですよね。隙間が多過ぎて崩れちゃったりして。

さて、久しぶりに本を読了しました。『精霊に捕まって倒れる』です。だいぶ時間がかかってしまいましたが、満足。とても良い本でした。これは移住してきたモン族とアメリカの医療関係者との間の話です。副題は「医療者とモン族の患者、二つの文化の衝突」です。

前にご紹介した「働くことの人類学」というポッドキャストで、モン族の話もありました。それはフランスに移民をしてズッキーニを作っているモン族でした。その時にモン族は国のない民である、ということを知りました。とても手のかかるズッキーニをコツコツ栽培して、それを市場で売って、売ったお金をぱっと使ってしまうという話と、困った時には知らない人でも同じ名字を持つ人のところに行けば助けてもらえる、という話が印象的でした。

この本ではアメリカに移民してきたモン族の家族の娘の一人がとても重いてんかんなのです。でも、家族は誰一人として英語が話せない、読めない、数を数えることも、時間を知ることもできません。そして、この娘の命を救おうとするアメリカ人の医師や社会的にケアする立場の人々。どちらも子供の命を大切に思っているのですが、病気に対する解釈の違い、お互いへの不信感があります。読んでいると、なんとももどかしい。そして合間に挿入されるモン族の歴史と家族の歴史。アメリカとモン族の関係性。ここにもベトナム戦争が影を落としています。

なぜそんなに頑固なんだろう、そんなふうにも思いました。アメリカで生きていくのであれば努力して英語を学ばないといけないのでは。アメリカの生活に慣れないといけないのでは。そんなふうにも思いました。でも、彼らには国土というものがないのです。言葉や風習を失ったら、アイデンティティは消滅してしまうのですよね。

アメリカ人医師たちも、もう少し理解してあげられないのか、そんなふうにも思いました。でも、通訳では伝えきれない文化的なことや、通訳さえいない場合に、医療行為を理解してもらうのは難しい。日本にいて、同じ民族の中で生きている私たちには想像もつかないことです。

でも、日本にもいろんな国から働きに来ている人がいます。私の前の職場もフィリピンやベトナム、アフリカから働きにきている人たちがいました。でも、彼らと挨拶くらいはするものの、コミュニケーションを取ることはほとんどありませんでした。特に言葉ができない人は名前を覚えることもできなかった。言葉、文化、それを超えて理解しあうというのは本当に大変なことなのだと思います。

さて、りんごが焼き上がりました。少し冷ましてからタルト生地をのせてもう一度焼きます。焼き終わったら帰ります。やっぱりなかなか手がかかりますね。明日の朝、うまくいっていたらSNSでご報告します。祈っててください!それではまた明日。おやすみなさい。

追記:忘れていました。11月の予定を今日の画像にあげておきます。来週が変則的で一月に一回の水曜日のお休みの週です。また、月曜日は店主都合により早仕舞いをします。19時閉店、18時ラストオーダーです。よろしくお願いします。