喫茶と読書 ひとつぶ

20250504

こんばんは!なんだか寒いです。服装ばっかり先行してしまって、朝晩は冷えますね。涼しいのは嫌ではないけど、またこの気候が、農作物に悪さをしないことを祈るばかりです。

さてさて、行ってきました。Soundwalk Collective & Patti Smith。素晴らしかった。本当にすごかったです。最初と最後は涙ぐんでしまったし、今日になっても、夢醒めやらぬ、です。17歳か18歳か、高校生活の後半で出会った彼女を、こんな歳で見ることになるとは思っていませんでした。私が知った時にはもうすでに活動を休止されていました。再開された頃、私はふっくらした彼女の写真に、なんだかすごく反感を覚えて、音源は聴いたと思うのですがしっくりこなくて、その後も来日していることは知っていても、足を運ぶ気にはなれなかったのです。でも、コロナがあったりして、来日の話も聞かなくなって、このまま彼女を見ることはないのかなと思ったら少し寂しい気持ちになりました。そんな折に、今回の来日公演のニュースを聞き、どんなパティでもいいから生身の彼女を見に行こうとチケットを取りました。

昨日は仕込みを午前中にやって、それから清澄白河の都立現代美術館に行きました。公演前に何をしようかなと、ずっと考えていたのですが、ギリギリになって、パティの展覧会に行こうと決めました。本当は空いているであろう連休後の平日に行こうと思ったのですが、他に特に行きたいところもなく、それであれば、ちょっと混んでいるかもしれないけれど、展覧会に行って前情報を頭に入れたほうがいいかなと思ったのです。ところが、私としてはラッキーだったのですが、思ったより全然混んでいませんでした。会場に入るとまず、ターンテーブルが4つ並んでいて、ヘッドホンで音源を聴くことができます。ここでちょっと並びました。私の番になり、ヘッドホンを装着して、スタートボタンを押すと、小鳥の鳴き声。やがてパティの声。なんて気持ちのいい音なんだろう、というのが感想でした。とりあえずこの1台だけを聴いて、さらに会場の中へ。ところが、先ほどまで私が聴いていた音が流れているではありませんか。会場内に入ると、壁に映像が流れていて、パティの声、そしていろんな音が聞こえてきます。8つのシークエンスが順番に映されていました。私は5つくらい見て、時間もなかったので、会場を出ました。

長々と書いてしまったのですが、この映像と音、パティの声と詩がたいへんに素晴らしかったのです。日本語の訳が1箇所だけ映し出されるので、内容もわかります。ブックレットを購入すれば、そこにも和訳が掲載されています。(ただ、会場内は暗いので、読めない時もあるかもです)映像と音楽とか、言葉の組み合わせというのはよくあるのですが、今回の作品は、どれをとってもクオリティが高いと思います。ずっと見ていても、飽きてしまうこともないですし、抽象的で訳がわからない、ということもあんまりないと思います。これはパティの詩や声のおかげでもあると思うのですが、Soundwalk Collectiveのステファンの力量もすごいと思いました。

そして、会場に入ったところにあるレコードですが、私は何もわからなかったので並んで聴いてしまったのですが、聞かなくても大丈夫です。というか、それが会場内で作品として流れますので、音だけ聴きたい方のみでいいと思います。あとで探したら、APPLE MUSICにもありました。このレコードを購入したいと思ったけど、美術館のショップにも、物販にもなくて、それはちょっと残念でした。本も一時期パティの本はたくさん和訳があったと思うのですが、今は全然ないんですね。

さて、美術館を後にして、初台へ。新国立劇場のオペラハウスが会場です。内容は美術館で流れている作品のうち、6作品でした。映像は美術館のものとはちょっと違っていたように思います。といっても、素材が一緒でアレンジが違う、というくらい。パティ・スミスはすごかったです。何度も書いていますが、意味がわからなくても、あの声で伝わってくる何かがあります。最後は娘さんがピアノで2曲。本編ではずっとメガネをかけていたパティですが、この時はメガネなしで。そして表情も柔らかく、さすがにおばあさんになったなあと思いました。でも、とても素敵な笑顔で、それを見ていると、70年台の尖ったパティが好きだった、という自分の意固地な気持ちが解けていくのを感じました。そして、広島のことを語り、人間は歴史に学ばない、ということを言っていたと思うのですが、それでもまた私たちは立ち上がる、というような歌詞なんだと思うんですが、最後に力強く、腕を広げて歌い上げてくれました。それを見ていたら、この人のそばにいたい、ついていきたい、という気持ちになりました。人としての大きさが違う。本当に素敵な人だった。いつまでもお元気でいてほしいです。また来日されるようなことがあれば、また行きたい。素晴らしい一日でした。

東京都立現代美術館の展示は6月までやっています。これもとても素晴らしいので、興味がある方にはお勧めします。全部見るなら、2時間くらい時間をみたほうがいいかもしれません。会場内にはソファもあるのですが、映像などが若干見にくくて、むしろ床に座ったほうがよさそうです。昨日は床に座れる服装ではなかったので、次に行く時にはそれを考慮するつもりです。

長々とすみません。それでは帰ります。明日もよろしくお願いします。おやすみなさい。