喫茶と読書 ひとつぶ

20210326

桜が!満開ですね!そろそろ一番いい感じになりそうです。ハラハラと散る桜。ちょっとクレイジーでいいですね。週末あんまり天気が悪くないといいですが。

カズオ・イシグロ『クララとお日様』を読了しました。AIと少女と言ったら、読まずにはいられないですね。しかもカズオ・イシグロとは!

予想通りというか、当然というか、面白くてどんどん読んでしまいました。この物語は、AIのクララの一人称で語られます。なので、クララがわからないことはわからないまま語られ、知らないことは語られません。そして、ここがちょっと面白いところなんですが、コンピューターらしい視覚イメージが描写されます。それがクララの心の状態を表しているような感じです。

少女の方にもいろいろな問題があって、それがカズオ・イシグロらしい設定でした。近未来ではありますが、あまりハードではなく、とても読みやすいSFです。

この物語は、AIという素材を使ってはいるのですが、私はそこよりも神の存在というようなものを強く感じました。クララはお日様を信仰しています。お日様を崇拝する姿が、キリスト教が生きている国の物語なのだなと思いました。

もっともっとAIのところに踏み込んで欲しい気もしましたし、少女との交流ももっとエピソードが欲しかった。とんでもない長編になってしまうかもしれないですが。物足りないところもありますが、クララの視点が全てなので、そこはこちらが想像すべきなのかもしれません。

本日ご来店いただいた皆様、ありがとうございました。最近お客様がご来店なさる時間が、遅めになっています。これも緊急事態宣言が解除された関係なのでしょうか?人の流れが、また変化したような気がします。それではまた明日。おやすみなさい。