喫茶と読書 ひとつぶ

20250502

ただいま19時45分。店内にお客様はいらっしゃいません。このまま閉店かなあと思いながら書いています。昨日と今日の落差がすごいです。今日は今年で最低な売り上げになりそう。この天気では仕方ないです。むしろ数人でもお客様がいらしてくださったことに感謝です。最後のお客様が帰られた直後に雷が鳴って、ちょっと心配です。今は雨は落ち着いてきた感じです、松戸にも洪水警報が出たようです。何事もないことを祈ります。

さて、そんな日だから、読む読むです。昨日ご報告した『砕かれた四月』読了しました。良かった。すごく良かったです。ちょっとロマンチック要素もありました。解説を読んだところ、著者のイスマイル・カダレさんは昨年亡くなられたそうです。ノーベル文学賞の候補に毎年取り沙汰されていた方だそう。アルバニアの方です。

『砕かれた四月』は、昨日も書きましたが、「掟」に支配された世界の話です。世界といっても現代のアルバニアが舞台です。読んでいて、そんなに現代の話とも思わなかったです。ただ、SF的な舞台ではないです。アルバニアという国について、あまりにも何も知らないので、架空の国として読んでしまったところもありました.復讐を法律にしたような「掟」のために死に直面する山人と、高地を旅行で訪れる夫婦の運命が交錯します。といっても、人間ドラマというより、「掟」と山人たちの生活の物語です。不条理でもある。

舞台になっている国についてよく知らないので、架空の国として読んでしまった、と書きました。そこが私に取ってはものすごく魅力的で、文章の描写の積み重ねで、風景ができていき、歴史が繰り広げられる。そんなに長い小説ではないのですが、短い旅行を終えたような読後感でした。

この作品は発表された当時は『誰がドルンチナを連れ戻したのか』という作品と一緒に、『冷血』というタイトルで出版されたそうです。こちらの作品も文庫化の予定だそうですので、楽しみに待とうと思います。(『砕かれた四月/イスマイル・カダレ/2025年4月/白水社  白水uブックス)

ここまで書いて、洗い物をしていたら、20時15分となりました。ご飯を食べて帰ります。明日はお休みです。パティ・スミス、見てきます!また日曜日からよろしくお願いします。おやすみなさい。