喫茶と読書 ひとつぶ

20240826

週末だー。ひとつぶにとって。今日は久しぶりに閑散とした月曜日となりました。ちょっと前も月曜日はこんな感じが続いていて、このままだと月曜日もお休みしてもいいくらいかも、と思った時もありました。それからまた盛り返して、このところ特に夜にたくさんお客様がいらしてくださっていました。この流れだとまたしばらく月曜日は静かモードかもですね。

それはそれで、今日はなんと1日で一冊読み終えてしまいました。『歩き娘』。このタイトルがとにかくすごく響いて、しかもシリアの作家さん。しばらく前に買っていましたが、小説が読みたい、と思い、読み始めました。すごく面白くて、グイグイ読んでしまいました。内容は割と悲惨で、たくさんの人が死んでしまいます。でも、残酷な感じはなくて、さらりと書かれています。それだけ「死」というものと隣り合わせの現実があるんだろうなあと、逆に恐ろしい気持ちがしました。そして、それより何より、主人公の豊かな感受性がとても美しくて、そのことに感動。『星の王子さま』『不思議の国のアリス』を愛する女性の夢想とも現実への批判とも取れる描写が作品世界を豊かにしています。シリアのことをあまり知らないまま読み終えて、巻末の訳者によるシリアの解説がありがたかったです。世界の隅々まで、紛争や虐殺はその爪痕を残していますね。文学はそんな現実に何か力を与えることができるのだろうか。(『歩き娘』サマル・ヤズベク 柳谷あゆみ訳/白水社/2024年6月)

すごく難しい問題です。伊藤比呂美さんが宮沢賢治は戦争前に亡くなった。萩原朔太郎は生きていたので、戦争を称揚するような詩を書いてしまった、というようなことを書いていました。さすがです。そうなのです。その場に居合わせた者は歯車を狂わされてしまうことがあるのだと思います。私は文学は必ずしも実生活で役に立つ必要はないと思うのですが、もう少し上位の概念の部分で、人を支える役目はあるのかなと思います。

さて、それでは帰ります。今日は本も紹介しようと思ったけれど、『歩き娘』が面白かったので、それで良いとしましょう。設定から話の流れを想像していたけれど、想像を裏切ってくれました。

あ、木曜日からのメニューは、カレーは豆のカレー、スープはゴーヤを使いたいと思っています。おやつは検討中です。プリンとスコーンはもちろんやります。それではまた木曜日に。おやすみなさい。