喫茶と読書 ひとつぶ

20231218

『世界』という雑誌をご存知でしょうか?岩波書店から出ていて、すごく固いイメージでした。正直に言いますと、ちゃんと書店でも見たことがなかったし、もちろん買ったこともありませんでした。それがこの間ネットニュースでリニューアルします、というのを見かけて、気になっていました。発売日が営業日で、本屋さんにも行けないので、Amazonでポチってしまいました。昨日からちょっとづつ読んでいます。

特集が二つあって、一つは「ふたつの戦争、ひとつの世界」。もう一つは「ディストピア・ジャパン」です。戦争の方には岡真理さんも書いています。岡さんの動画で見た、台湾での日本人への少数民族による叛乱(1930年)についても特集とは別のページに駒込武さんの寄稿があって、読むことができました。

そんな中、小川公代さんの「<小さな物語>の復興」という新連載を、とても興味深く読みました。副題が「『フランケンシュタイン』を読む」です。一節を抜書きすると、「ナチスによるホロコーストも、イスラエルによる虐殺も、<小さな物語>を軽視した国家暴力という<大きな物語>の末路なのである」。<小さな物語>というのは、人、個人に視点を置いたものです。そして<大きな物語>は国家の視点。また引用しますが、「なぜ人間は家族や友人、あるいは祖国の人々に対する私的感情を、他者に向けることができないのか、なぜ国家間で戦争が起きるのか」。これは永遠の問いかけですよね。この問いを、メアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』を起点に文学や映画を例に挙げながら見ていくという連載です。今月号ではヴァージニア・ウルフが取り上げられています。

この他にも、第二特集の巻頭、松村圭一郎さんの『人間であることが困難な世界で』は全文引用したいくらい、とても素晴らしいものでした。またまたグレーバーについて書かれていました。『世界』たいへん読み応えのある雑誌です。今後にも期待!

小川公代さんの記事については、もうちょっと理解を深めたい。今はここに書いてある以上のことは書けない、そんな自分が情けないです。でも、読んだらウルフの本を読みたくなりました。

さて、今週も終了です。この2週間ほど、土曜から月曜日は好調です。なぜか以前絶好調だった木曜日が落ちてますね。1週間フルで営業は、来週が今年最終です。クリスマス前後は去年はすごく暇だった覚えがあります。のんびりやりましょう。あ、メニューはカレーはキーマカレー、スープは鶏手羽元のポトフ、おやつはビクトリアケーキとプリン、スコーンです。何か連絡がなければ、次の更新は木曜日です。今週もありがとうございました。おやすみなさい。