喫茶と読書 ひとつぶ

20231126

今日は本当に寒かったですね。昨日の夜、ひとつぶを出た時に、思ったより寒くなかったのでなあんだ、と侮っていましたが、今朝仕込みをしている時に、さあっと風が吹き込んで、その冷たさ。冬きた、と思いました。来週の予報を見ると、暖かい日もありそうですが、だんだんと下がっていくみたいですね。灯油のストーブを、今度のお休みに出そう、と決心しました。灯油を買うかは未定です。

この3日ほど、静かな日が続いていて、いいのかな?これで?と不安には思いつつ、ここぞとばかり本を読んでいます。昨日は『ひとはなぜ戦争をするのか』という本を読みました。これはご存知の方も多いかと思いますが、アインシュタインとフロイトの往復書簡です。それぞれ一通づつで、ごくごく薄い本ですが、もし付箋を貼るとしたら、全ページになってしまう、というくらいみっちりした本でした。

アインシュタインが、国際連盟から、誰でも好きな人と、今の文明で最も大切だと思える問いについて意見を交換できるという提案を受けて、「ひとはなぜ戦争をするのか」という問いをフロイトに投げかけ、それにフロイトが応えた、そういう往復書簡です。1935年7月にアインシュタインがフロイトへ。同じ年の9月に返事は書かれました。wikipediaで調べたところ、この年の3月にナチス・ドイツはヴェルサイユ条約を破棄し、再軍備を宣言しています。そして同じ年の10月に国際連盟を脱退しています。アインシュタインもフロイトも、当時ドイツ語圏で暮らしていましたが、それぞれこの往復書簡を交わしたあと、アメリカとイギリスに亡命したそうです。

第一次世界大戦を経て、またひたひたと戦争の足音が聞こえてきた時に、このような問いを2人の偉人が真剣に意見を交わしていたことに、大きな感動を覚えます。そして、ウクライナへのロシアの侵攻、ガザへのイスラエルの攻撃を思うとき、いまだにこの問いは有効なのだなと思い知らされます。フロイトの手紙は、最後に明るい未来を描いてくれていますが、まだ人類はそこに至っていません。

この本は2016年に出版されています。今読むと、解説も少しのどかな感じです。小さな紛争はあるけれど、大きい戦争はもう起きないのではないか、という感覚です。確かに、ウクライナのことがあった時に、まだこんな戦争って起きるんだ、というのはいろいろなところで語られていました。ガザについても、多くの人が、また?と思ったと思います。しかし、ウクライナとロシアの紛争は長期化し、ガザについては今まで以上に現地の情報や過去の歴史が語られて、世界の論調は少し変化を見せています。そして、思うのは、どちらの戦いも、今始まったことではない、ということです。クリミヤ半島を巡る攻防はもっと前に起きていましたし、イスラエルとパレスチナについてはずっと続いていることです。それは地域的な紛争ではあったかもしれませんが、人と人が争うことに、大きい、小さいなんて本当はないのではないでしょうか。アメリカやヨーロッパの国が関わると、私たちも関心を持ちますが、世界のあちこちでまだまだ紛争は起きているのです。本当はそれも全て収まって、初めて平和と言えるのですよね。お花畑、と言われそうですが、そして何もしていないのですが、このことは忘れないようにしようと思います。人の心に憎悪と破壊への欲望があるかぎり、そしてそれを抑えることができない限り、戦いは続いてしまうのです。(『ひとはなぜ戦争をするのか』アルバート・アインシュタイン、ジグムント・フロイト 講談社学術文庫 2016年)

それでは帰ります。明日もまだ寒いみたいですね。みなさん暖かくしてお休みください。それではおやすみなさい。また明日!