喫茶と読書 ひとつぶ

20231108

ただいま自宅です。今日は朝から仕込みをして、おおたかの森で紅茶などの仕入れをして、夕方に帰ってきてご飯を食べ終わったところです。お腹がいっぱいになったら眠たくなりました。寝ちゃう前にブログだ!と思ってテーブルでキーボード叩いています。

昨日はライブに行ってきました。ACIDMANとGRAPEVINEの対バンです。このふたつのバンドのイベント、どちらもキャリアが長いですが、初めてだそうです。実力のある人たちなので、ものすごく楽しめました。持ち時間が短いのでちょっと物足りないところもありましたが、ふたつ楽しんだので、欲張りですね。GRAPEVINEは最近新しいアルバムが出て、そこから結構選曲されていました。私は不勉強で聞いていなかったので、慌てて今日聞いたところ、とても良いアルバムだった。すごいですね。何年やっていても、いつも新鮮。かと思えば、いつも通りの天を仰ぎ見るような曲もある。またワンマン行きたいです。でも、なかなかチケットが取れないらしい。いつか縁があったら。

ライブを楽しんでいる途中で、ふとパレスチナの問題を思い出していました。やっぱり、ナチスとかロヒンギャとかクメールルージュとか、日本の南京大虐殺などもそうですが、今、起きていることではなかった。そうだったとしても、不徳の致すところで、知らなかった。でも、今、そこで起きていることを知っている。それはとても大きいことですね。罪悪感を抱く、というわけではないですが、とても悲しい気持ちになりました。

帰り道にメールがお友達から届いていました。岡真理さんも参加されているガザ関連の緊急セミナーの動画です。私も今日仕込みをしながらほぼ耳だけでしたが、視聴しました。とても心に刺さる、すばらしいものでした。差し支えないと思いますし、拡散されて欲しいので、リンクを貼りますね。前半後半です。岡真理さんが講演されているのは前半です。後半は日本が台湾でイスラエルと同じようなことをしていた、というお話でした。そして、そのお友達が指摘してくださったのですが、私、お名前を間違えて真里と表記していました。これを投稿したら直します。大変失礼しました。

さて、先週読み終えた本がとても面白かったので、ご紹介します。『革命と住宅』という本です。ソ連の住宅と建築について書かれた本ですが、建築の本、というにはとても面白い視点から描かれている本でした。読み終えて、前半と後半で、全く違う話だったな、と思ったのですが、それは後からもう一度見てみたら、ちゃんと序章に書かれていました。前半は書名と同じ「革命と住宅」について。十月革命以降のソ連の住宅政策、そして現実の住宅事情について書かれています。面白いのは、資本主義の基本はホームであり、そのために社会主義はアンチ・ホームである必要があった、という考えです。そのため、初期のソ連の住宅は、所有という関係を否定して、ものそして人間関係からも自由になることを目指します。女性も労働力になるため、子供は共通の保育所に預け、食事を作るということもありません。SFにも通じるようなユートピア感があります。スターリン、フルシチョフ、ブレジネフ、と政権が移るにつれて、住宅の政策も変わっていきます。また、それを当時の映画を通して読み取っていくのもとても面白かったです。

後半は「亡霊建築論」というタイトルになっています。いわゆるアンビルトの建築。実現しなかった計画です。ソ連という国の勃興期と終息期に分かれて紹介されており、前者では労働宮殿、ソヴィエト宮殿の計画。後者はペーパーアーキテクチャーと言われた、1980年代から90年代にかけての建築家たちの試みです。ソヴィエト宮殿の話もとても面白いのですが(巨大なレーニン像がビルのてっぺんに君臨する、など)、私がとても惹かれたのはペーパーアーキテクチャーの項目です。その中でもブロツキーとウトキン、というグループ?の作品が、この本にも何点か紹介されていて、それがとても興味深い。すでにソ連では建築家という職業自体が求められていなくて、行き場を失った才能が、自由主義の国のコンペなどに向けられていました。しかし、現地に行くということはソ連という国では許されることではなく、また、模型なども送付することは困難なことから、空想の建築をドローイングなどで表現する、というようなコンペに応募することが多かったということなのです。ソ連の建築家たちは、大学などでデッサンなどの基礎技術を仕込まれていたため、このようなコンペで評価されることが多かったのです。ブロツキーとウトキンの作品は、建築なのか、美術なのか、私には到底判断できないような内容でした。発想自体が建築的なところから発しているので、かろうじて建築の分野にとどまっているんでしょう。「喪失に対するノスタルジー」「批判的センチメンタリズム」そんな言葉を抜書きしていました。

序章では、ウクライナとロシアの戦争についても触れられていますが、本文の中にもニュースで聞いた地名が出てきたり、ロシアとウクライナの関係の深さを感じました。ソ連がウクライナに作った建築物を、今攻撃によって破壊している、というのも不思議な話です。ソヴィエト連邦、不思議の国だったんだなと思いました。(『革命と住宅』本田晃子 2023年・ゲンロン)

話題変わって、明日からのメニューはカレーは豆のカレー、スープはポトフ、おやつはガトーショコラとプリン、スコーンです。明日からもよろしくお願いします。おやすみなさい。